家族信託の手続きを自分でやる方法とは?手続きの流れや注意点などもご紹介

家族信託の手続きを自分でやる方法とは?手続きの流れや注意点などもご紹介

「家族信託の手続きは自分でできないの?」といった質問をいただくことは少なくありません。

結論からお伝えすると、家族信託の手続きを自分で行うことは不可能ではありませんが、難易度が高いうえにトラブルが発生するリスクも高いことから、専門家に依頼して進めるのが一般的です。

とはいえ、具体的に手続きのどういった部分が難しいのか知りたいという方や、専門家に依頼するにしても、どういった流れで手続きを進めることになるのかを把握しておきたいという方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回の記事では、家族信託の手続きを自分で行う場合の手順や方法知っておくべきリスクなどについてまとめました。

この記事の監修者

姉川 智子
(あねがわ さとこ)
司法書士

2009年、司法書士試験合格。都内の弁護士事務所内で弁護士と共同して不動産登記・商業登記・成年後見業務等の幅広い分野に取り組む。2022年4月より独立開業。
知識と技術の提供だけでなく、依頼者に安心を与えられる司法サービスを提供できることを目標に、日々業務に邁進中。一男一女の母。

専門家に依頼した場合のメリットなどもあわせて解説しているので、よろしければ参考にしてみてください。

目次

家族信託の手続きを自分で行う方法と流れ

それではまず、家族信託の手続きを自分で行うときのやり方と流れをステップごとにご紹介します。

主なステップは下記の通りです。

家族信託の手続き方法
  1. 家族信託の目的を考える
  2. 信託契約の内容を決める
  3. 信託契約書の作成
  4. 信託契約書を公正証書にする
  5. 不動産がある場合は登記をする
  6. 家族信託専用の口座を開設する
  7. 手続完了

一つずつ見ていきましょう。

手続き手順
家族信託の目的を考える

まず、何のために家族信託を利用するのかを家族でよく話し合いましょう。後々のトラブル防止のためにも、家族間でこの目的を明確にしておくことが大切です。

一般的に、家族信託を利用する目的は以下のようなものが挙げられます。

家族信託を利用する目的
  • 認知症による資産凍結を防ぎたい
  • 相続のトラブルを避けたい
  • 自社の事業継承に活用したい
  • 障害のある子どもの生活を守りたい

このように、家庭状況や信託したい財産の内容を考慮して、家族信託の目的を具体的に決めておきましょう。

手続き手順
信託契約の内容を決める

家族信託をする目的が決まったら、次に信託契約の内容を具体的に決めましょう。

信託契約書に記載しなければならない主な事項は以下の通り。

スクロールできます
主な項目内容
信託の目的何のために家族信託をするのか
委託者財産の元々の所有者でこれから財産を信託する人
受託者委託者から財産の管理・運用等を任される人
受益者財産の運用益、売却益などの給付を受ける人
信託財産受​​託者に信託される財産
信託期間家族信託の有効期間
財産管理の方針信託財産の管理方法や信託財産から得られた利益の扱い方
受託者の権限信託目的達成のために必要な行為をする権限
残余財産の帰属先信託終了後に誰が信託財産を取得するか

などがあります。

なお、家族信託は契約内容の柔軟性が非常に高いため、上記の内容のほかにもさまざまなことを細かく決めておくことができます。

このとき、契約者同士での認識がずれている状態で手続きを進めてしまうと、後に契約内容で揉めたり、希望通りの財産管理ができなくなってしまったりする恐れがあるので、必ず契約内容は細部まで話し合って決定しましょう。

手続き手順
信託契約書の作成

信託の目的や契約内容が決まったら、実際にそれらの事項を書面にして信託契約書を作成しましょう。

契約書の作成の際は、ステップ2 で挙げた項目をわかりやすく、誰が読んでも誤解のないように記載する必要があります。

作成時の注意点

後にトラブルに発展してしまうことのないように、曖昧な表現はできるだけ避けてください。また受託者が不測の事態で迷ったり困ったりしないように、あらゆる事態を想定した内容を記載することが大切です。

手続き手順
信託契約書を公正証書にする

続いて、信託契約書を公正証書にします。

“公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のこと” です。

法務省HP “https://www.moj.go.jp/MINJI/minji30.html”

信託契約書を公正証書にすることで、より証明力の高い文書となります。

家族信託は必ずしも公正証書化する必要はありませんが、委託者の意思に基づくものであることを公的に証明してもらえるので、金銭トラブルや契約違反トラブルなどの万が一のトラブル防止につながります。

手続き手順
不動産がある場合は登記をする

信託財産に不動産がある場合は、不動産の登記をする必要があります。

登記の際のポイント

不動産の登記名義を委託者から受託者に変更する「所有権移転登記」と、受託者が自身の財産と信託財産を分別管理することを表明する「信託登記」を行いましょう。

これらを行うことで、その不動産で信託が行われていることを公に明らかにできます。

手続き手順
家族信託専用の口座を開設する

前述した通り、信託財産は受託者自身の財産と分けて管理しなければなりません。

そのため、銀行口座を分け、信託財産は信託口口座で管理することが一般的です。

口座開設の際の注意点

ただし、この信託口口座を開設できる金融機関は限られていますので、事前に必ず問い合わせて開設可否について確認しておくようにしましょう。

手続き手順
手続きの完了
家族信託コーディネーター

これにて全ての手続きは終了です。

信託が開始され、受託者が委託者の意向にあわせて財産を管理・運用していけるようになります。

家族信託の手続きを自分で行う場合の注意点やリスク

ここまでは、家族信託の手続きを自分で行う際の手順について解説しました。文章だけ読むと「頑張れば自力で手続きができるのではないか」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、専門家に依頼しないことによるデメリットは、手続きが多く複雑であるということだけではありません。

ここでは、家族信託の手続きを自分で行う場合の注意点やリスクについていくつか説明します。

①家族内でトラブルが起こる恐れがある

先ほども述べた通り、契約者同士で認識のずれが生じたまま手続きを進めてしまったり、契約書の内容が曖昧で紛らわしい表現になっていたりした場合、信託が開始された後に家族内で揉めてしまう可能性があります。

また、将来のリスクをきちんと考えられていないまま信託契約を結んでしまうと、家族信託を始めたことによって余計な税金がかかってしまったり、委託者が死亡した際に、より大きな相続トラブルが起きてしまうかもしれません。

リスクとなる主な要因

これらは、家族信託について熟知していないことが要因で起こる問題であるため、自分で手続きを行うことはリスクがあるといえるでしょう。

②書類に不備があってもわからず、無効になる可能性がある

家族信託の手続きは民法や信託法などの専門知識が必要不可欠であるため、専門家以外の人が作成した場合、信託契約書や提出書類に不備や問題点がでてきてしまうかもしれません。

自分で手続きを進めているがゆえに不備や問題点に気づけず、それらの確認や修正をしてもらうことができないため、契約が法的に無効となってしまう恐れもあります。

さらには、委託者が認知症を発症し意思能力が低下してしまった後に不備が発覚してしまうと、契約内容の修正をすることができないので取り返しがつきません。

リスクとなる主な要因

このように、書類に不備があるとさまざまなトラブルに発展してしまう可能性があります。

③登記が必要だった場合の手続きが難しい

前述した通り、信託財産に不動産が含まれていると、不動産登記手続きを行う必要があります。

しかし、信託登記の登記事項は法律で規定されており、やり方をよく知らない人が最初から調べて行うと、かなり時間と手間がかかってしまうでしょう。

そのため、登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。

また自分で登記申請を行った場合は、登記官から補正の連絡が入ることが予想されます。

リスクとなる主な要因

その対応に苦慮したり、場合によっては補正のために登記申請を取り下げて、不備を整えたうえで再申請を促されることもあるので注意が必要です。

④公正証書の作成がスムーズに進まない可能性がある

信託契約書を公正証書にするには、ただ契約書を持参して公証役場に行けばいいというわけではありません

公証役場に行く前に、あらかじめ公証役場の公証人に連絡をし、予約を取って契約書の内容について公証人と打ち合わせをするなど、さまざまな手順を踏む必要があります。

自分で手続きするとなると、これらを全て自分自身で行うことになるわけですが、公証役場を探すところから始めなければならないので、公正証書化に必要以上に時間がかかってしまうことも想定されます。

リスクとなる主な要因

認知症対策などで家族信託を利用する場合、契約手続きに時間がかかると認知症が進行して契約自体を締結できなくなってしまう可能性もあるため、公正証書化に時間を要することは大きなリスクになりえます。

⑤信託契約に係る手続きを全て自分で行わければならない

以上のような関門を突破し、手続きが全て無事に完了したとしても、その後の財産管理に伴う手続きも全て自分で行うという負担があります。

例えば、信託財産に係る帳簿やその他の書類の作成、年に一回の受益者に対する報告など、受託者は信託開始後にさまざまな手続きをしなければならないのです。

リスクとなる主な要因

家族信託の手続きを専門家に依頼した場合は、手続きの時期や方法を教えてもらうことができるかもしれませんが、自分で行ってしまうとこのような手続きをすべて自力で行わなければならず、かなり骨の折れる仕事となってしまうでしょう。

家族信託を取り扱っている専門家とは?

ここまでお読みいただき「家族信託の手続きを自分で進めるのはリスクがあることはわかったけど、どこに相談すればいいの?」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、家族信託を専門的に取り扱っている相談先をいくつかご紹介します。

弁護士や司法書士などの士業

まず最初に挙げられるのが、弁護士や司法書士などの士業です。

士業に相談するメリット

法律に関してはもちろん、信託登記や遺言、相続、税務などの専門的な知識を有しているため、家族信託でご家族の希望を実現するために幅広くアドバイスやサポートを受けられるでしょう。

士業に相談する場合の注意点

ただし、家族信託は比較的新しい制度であり、専門家であっても詳しい知識を有しているとは限らないため、必ず事前に実績や相談件数などを調べ、家族信託を熟知している専門家であるか調べておきましょう。

信託銀行や信託会社などの金融機関

信託銀行や信託会社といった金融機関でも、家族信託のあらゆるサービスを取り扱っている場合があります。

これまでは、信託銀行などが取り扱う家族信託は「商事信託(※)」と呼ばれるものであるケースがほとんどでしたが、近年コンサルティングサービスとして家族信託を取り扱う金融機関も増えてきました。

※ 受託者が営業として信託を引き受ける形態の信託。主に、信託銀行や信託会社が受託者となる。

金融機関に相談するメリット

コンサルティングサービスには、お客様のご要望を実現するための信託契約書の設計から専門家の紹介、信託契約書の文案作成サポートなどが含まれているようです。

金融機関に相談する場合の注意点

商品やサービスによって信託できる財産に制限が設けられていたりもするので、事前に問い合わせたり資料を取り寄せるなど、よく調べてから利用を検討するとよいでしょう。調べておきましょう。

家族信託の組成をサポートする会社

ファミトラのような家族信託の組成をサポートする会社も家族信託を専門的に取り扱う機関の1つです。

主に家族信託におけるコンサルティングを行っており、ご家族間での信託契約締結からその後のアフターサポートまで、総合的にサービスを提供しています。

組成サポート会社に相談するメリット

家族信託に特化している会社なだけあり、家族信託に精通した弁護士や司法書士、信託組成実績の豊富な実務家などで構成されているケースがほとんどであるため、安心して契約手続きを任せられるでしょう。

専門家に家族信託の手続きを依頼する場合のメリットと費用

前項で紹介したような専門家に家族信託の手続きを依頼した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?

家族信託の手続きを行う際、一般的にかかる費用の相場とあわせて解説します。

専門家に依頼する場合のメリット

家族信託の手続きを専門家に依頼すれば、単に信託のスキームを提案してもらえるだけでなく「そもそも自分の家族には家族信託の利用が最適なのか」というところから相談にのってもらえます。

ご家族の状況や要望によっては、他の制度を利用したり、家族信託と併用したりすることが適している場合もありますが、専門家はそうした状況を踏まえて、ご家族の希望を実現するための一番最良な選択を一緒に考えてくれるでしょう。

また、不動産の登記手続きや公正証書の作成の段取り、金融機関での信託口口座の開設など、契約締結までのあらゆる工程をすべて任せることも可能です。

専門家に依頼するメリット

自分で行う場合に比べて手間や時間を大幅に削減できるうえに、さまざまなリスクや起こりうるトラブルを考慮して手続きを行ってもらえるので、安心して家族信託を組成できるといえます。

専門家に依頼する場合の費用相場

家族信託の手続きを弁護士や司法書士に直接依頼した場合、相談先によって異なりますが、主に以下のような費用が発生します。(※あくまでも一般的な相場です)

信託契約組成時にかかる費用と相場

コンサルティング費用信託財産の 1%程度(最低金額 30 万円)
信託契約書作成費用1 通あたりおよそ 10 万円〜30 万円
信託口口座開設費用1 口座あたりおよそ 5 万円〜10 万円
公正証書の作成費用信託財産の規模によります 公証人手数料早見表
戸籍謄本・印鑑証明書・住民票などの資料取得費用およそ 1 万円

不動産登記にかかる費用と相場

登記代行費用1 件あたりおよそ 8 万円〜12 万円
登録免許税信託財産の 0.3〜0.4%
信託財産に不動産が含まれている場合

信託契約締結後にかかる費用と相場

※必ずしも発生するわけではありません

信託監督人・受益者代理人への報酬月々 1 万円〜3 万円

これらの費用がかかることを踏まえると、家族信託の導入コストは決して安いとはいえませんが、契約を開始してから得られるメリットを考えた場合、コストをかけてでも利用する価値は十分にあるといえるでしょう。

家族信託の手続きを自分で行うことはリスクが伴う

いかがでしたでしょうか?

今回は、家族信託の手続きを自分で行う流れやリスク、専門家に依頼した場合のメリット・費用について説明しました。

家族信託の手続きは自分で行うこともできますが、法務や税務などの知識が必要不可欠であり、熟知していないまま進めるとさまざまなトラブルが起こる可能性があるので、必ず専門家に依頼するようにしましょう。

ただし、前述した通り家族信託に精通した専門家はまだ多くなく、自力で探し出して直接依頼するのは難しいかもしれません。

ファミトラに依頼するメリット

ファミトラは、家族信託の実績豊富な弁護士や司法書士、税理士などの士業と連携しているため、ご自身で探す手間なくお客様の状況に応じて最適な専門家にお繋ぎすることが可能です。

契約締結後のアフターフォローサービスも提供しており、信託を進めるうえでわからないことや困ったことがあれば、いつでも相談できる体制を整えております。

また家族信託の相談先の中には、相談するだけでも高額な費用が発生するケースもありますが、ファミトラはいつでも相談無料です!

家族信託コーディネーター

「まずは話を聞いてみるだけでも……」と思った方は、是非この機会にファミトラまでお気軽にご相談ください。ご相談は無料です!

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この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

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