生命保険金の受け取りにも相続税はかかる?相続対策として活用するための方法についてもご紹介!

生命保険金の受け取りにも相続税はかかる?

生命保険は、自分や家族に万一のことがあったときの生活を保障する目的で加入するのが一般的です。

一方で生命保険は、相続対策として有効に活用できる金融商品でもあります。

活用の方法次第では、遺産の分け方で家族が争うのを防止したり、相続税の負担を軽減したりすることが可能です。

ただし相続対策として活用するのであれば、課せられる税金の決まり方についてよく理解しておかなければなりません。

そこで今回の記事では生命保険で受け取る保険金にかかる税金や、相続対策として活用が可能な理由などについて解説します。

この記事の監修者

瀧田 潤
(たきた じゅん)
税理士

2005年税理士試験合格。都内3カ所の会計事務所、税理士法人勤務を経て、2017年に独立開業。特に独立前の税理士法人では相続・事業承継の責任者として活躍し、その当時から現在に至るまで毎年100件以上の相続関連の相談を受けている。税金で損をしている方を一人でも多く減らすことをモットーに「日本一相談のしやすい税理士」を目指して日々邁進中。

目次

生命保険で受け取った保険金は相続財産に含まれる?

まず相続財産とは、亡くなった人(被相続人)が生前に所有していた財産を指します。

預貯金や株式、不動産、自動車といったプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれます。

しかし、生命保険の保険金は、生命保険会社へ保険金を請求してはじめて相続人に支払われるものであり、被相続人が生前に所有していた財産ではないため、民法上の相続財産とはみなされません。

受取人固有の財産となり、遺産の分け方などを話し合う「遺産分割協議」の対象にもならないため、特定の相続人に財産を多く残したいときに有効な手段となり得るのです。

ただし相続財産とはみなされないものの、相続税を計算する際には生命保険金は課税対象となるため注意が必要です。

このように、被相続人の死亡をきっかけとして受け取る財産を「みなし相続財産」といいます。

生命保険の死亡保険金や、勤務先から支給される死亡退職金などが含まれるほか、契約形態によっても異なりますが、生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利などもみなし相続財産になる可能性があります。

生命保険で受け取った保険金と税金の関係性

生命保険で受け取った保険金と税金の関係性
イメージ写真です

生命保険の保険金に税金がかかるのはどのようなケースなのでしょうか。

ここでは、生命保険の保険金にかかる税金の種類や課税の有無について解説します。

税金がかかる保険金の種類

一口に保険金といってもさまざまな種類がありますが、全ての保険金に税金がかかるわけではありません。

例えば入院給付金は、受取人が被相続人であれば相続税の「課税対象」となります。ただし所得税は「非課税」です。

課税対象となる主な保険金には、被保険者が亡くなったときに支払われる「死亡保険金」や被保険者が保険期間の満了まで生存していたときに支払われる「満期保険金」があります。

このうち死亡保険金は「契約者」「被保険者」「受取人」が誰であるかによって「所得税」「贈与税」「相続税」いずれかの課税対象となります。

それぞれの税金が課税されるケースについては、「生命保険の保険金に課税される税金は契約者・被保険者・受取人の関係性によって異なる」で後述します。

保険金が非課税限度額内であれば非課税となる

生命保険の死亡保険金は、残された家族の生活を保障するという大切な役割があります。そのため、相続人が受け取った死亡保険金については、一定金額まで相続税がかかりません。

具体的には、すべての相続人が受け取った死亡保険金の合計額のうち「500万円×法定相続人の人数」で計算される非課税限度額を超える部分に相続税がかかります。

例えば、法定相続人が3人である場合、非課税限度額は500万円×3人=1,500万円です。

ただし、相続人が法的な親子関係を結んだ「養子」である場合、生命保険金の非課税限度額の計算時にカウントできる人数は、以下の通り制限されます。

  • 被相続人に実子がいる場合 :1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合 :2人まで

一方で、相続人のなかに相続を放棄した人がいても、相続税法上は放棄がなかったものとして非課税限度額は計算されます。

非課税金額をシミュレーション

ここで、モデルケースを用いて生命保険の非課税金額をシミュレーションしてみましょう。

  • 法定相続人 :3人(配偶者、長女、長男)
  • 配偶者が受け取った生命保険金 :3,000万円
  • 子どもが受け取った生命保険金 :各500万円

法定相続人は3人であるため、生命保険の非課税限度額は500万円 × 3人=1,500万円です。
相続人一人当たりの非課税金額は「非課税限度額 × $ \frac{その相続人が受け取った生命保険の金額}{すべての相続人にが受け取った生命保険金の合計額} $ 」で計算します。配偶者、長女、長男それぞれの非課税金額は、以下の通りです。

  • 配偶者の非課税金額 :1,500万円 × $ \frac{3,000万円}{4,000万円} $=1,125万円
  • 長女の非課税金額 :1,500万円 × $ \frac{500万円}{4,000万円} $=187万5,000円
  • 長男の非課税金額 :1,500万円 × $ \frac{500万円}{4,000万円} $=187万5,000円

生命保険の非課税金額は上記のように算出することができますが、相続税には基礎控除があるため、保険金を含めた遺産の総額(非課税金額や債務控除額を差し引いた後の金額)が基礎控除の範囲内であれば相続税はかかりません。

相続税の基礎控除額は下記の計算式で算出できます。

相続税の基礎控除額

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

さらに配偶者の税額軽減(配偶者控除)により、配偶者が遺産分割や遺言書による指定により実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分(※)相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。

※ 法定相続分とは、簡単にいえば法律で定められた相続割合です。例えば、相続人が配偶者と子供1人の合計2人であった場合、法定相続分は配偶者1/2、子供1/2となります。

生命保険の保険金に課税される税金は契約者・被保険者・受取人の関係性によって異なる

生命保険の保険金に課税される税金は契約者・被保険者・受取人の関係性によって異なる

前述した通り、生命保険の死亡保険金や満期保険金にかかる税金の種類は、保険料を負担する人(基本的に契約者)や被保険者、保険金受取人の関係性がそれぞれ誰であるかで決まります。

ここでは、保険金別に課せられる税金の種類と契約形態の例を解説します。

死亡保険金に課税される税金

被相続人が保険料を負担していた場合は「相続税」

死亡保険金が相続税の課税対象となるのは、生命保険の保険料負担者と被保険者が同じ人であるときです。

例えば「保険料を負担する人:夫・被保険者:夫・保険金受取人:妻」である生命保険から支払われる死亡保険金は相続税の課税対象となります。

また生命保険の受取人が法定相続人である場合は、相続税を計算するときに「500万円 × 法定相続人の数」で計算される非課税枠が適用されます。

法定相続人ではない人が死亡保険金を受け取る場合、非課税枠は適用されません。加えて、相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

保険料を負担していた人と受取人が同じ人の場合は「所得税」

死亡保険金が所得税の課税対象になるのは、生命保険の保険料負担者と保険金受取人が同じ人であるときです。

例えば「保険料を負担する人:夫・被保険者:妻・保険金受取人:夫」である生命保険契約の死亡保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。

また死亡保険金が一時所得となる場合「(保険金額-払い込んだ保険料-特別控除額50万円)×1/2」で計算される金額が所得税の課税対象となります。

死亡保険金の受取額が1,000万円、払込保険料が200万円である場合、所得税の課税対象となる金額は(1,000万円 – 200万円 – 50万円)× 1/2=375万円です。

保険料を負担していた人が被保険者でも受取人でもない場合は「贈与税」

死亡保険金が贈与税の課税対象となるのは、生命保険の保険料負担者と被保険者、保険金受取人がすべて別の人物であるときです。

これは受け取った生命保険金が、保険料を支払っていた人から贈与されたものであるとみなされるためです。

例えば保険料を負担する人:夫・被保険者:妻・保険金受取人:子ども」である場合、妻の死亡によって子どもに支払われた死亡保険金は、贈与税の課税対象となります。

贈与税は、1月1日から同じ年の12月31日までに贈与された財産の合計額が110万円を超えたときに課税されます。

仮に子どもが1,000万円の死亡保険金を受け取り、他に贈与された財産がないのであれば、贈与税の課税対象となる金額は1,000万円 – 110万円=890万円です。

満期保険金に課税される税金

保険料を負担していた人と受取人が同じ人の場合は「所得税・住民税」

満期保険金が「所得税・住民税」の課税対象となるのは、保険料負担者と保険金受取人が同じ人であるときです。

例えば「保険料を負担する人:夫・被保険者:妻・保険金受取人:夫」である生命保険契約の満期保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。

この場合に受け取る満期保険金は一時所得となり、「(保険金額ー払い込んだ保険料ー特別控除額50万円)×1/2」で計算される金額が課税対象となります。

なお、満期保険金と払い込んだ保険料の差額が50万円を越えなければ、税金はかかりません。

保険料を負担していた人と受取人が異なる場合

満期保険金が「贈与税」の課税対象となるのは、保険料負担者と保険金受取人が違う人であるときです。

例えば「保険料を負担する人:夫・被保険者:夫・保険金受取人:子」である生命保険契約の満期保険金は、贈与税の課税対象となります。

この場合の計算式は「満期保険金ー110万円(基礎控除)=贈与税額」です。

生命保険を活用した相続対策

生命保険の保険金が「相続財産に含まれず、受取人固有の財産になる」という特徴を活かして、相続対策に用いられるケースは少なくありません。

ここでは、生命保険を活用した相続対策について具体的に解説します。

納税資金として活用する

相続税の納税期限は、被相続人が亡くなってから10カ月以内です。また相続税は、原則として一括で納付しなければなりません

仮に相続財産のほとんどが不動産である場合、期限までに不動産を売却して換金しなければ、納税資金を準備できない可能性があります。

不動産の買い手が見つからなかった場合、相続人自身の資産からの納税が必要になるかもしれません。

そこで、保険金の受取人が相続人である生命保険に加入していれば、支払われた死亡保険金を納税資金として活用できます。

※延納の申請をすることで納付期限を担保を提供することで年払いで納付することも可能ですが、延納期間中は利子税の納付が必要となります。
※延納でも納付が困難な場合、相続者の申請により不動産などによる物納が認められています。申請が却下された場合などに利子税の納付が必要となります

生前贈与として活用する

生前贈与は、生きているうちに財産を配偶者や子ども、孫など特定の人へ贈与することです。贈与された金額が年間で110万円以内である場合、贈与税はかかりません。

そこで子どもや孫に110万円以内の財産を贈与し、生命保険の保険料を支払ってもらう方法があります。

例えば、子どもが保険料の負担者かつ受取人、被保険者が父親である生命保険に加入するとしましょう。

保険料は、父親から贈与された財産をもとに支払います。父親が亡くなったとき子どもが受け取る死亡保険金は、一時所得として所得税の課税対象となり、相続財産には含まれません。

子どもに贈与された財産の額が110万円以下であれば、贈与税は非課税です。

また死亡保険金額と払込保険料総額の差が50万円以内であれば、所得税もかかりません。

代償分割する際の相続分として活用する

代償分割とは、相続人のうちの1人または数人が遺産を現物で取得し、その現物を取得した人が遺産を取得する代わりに、他の相続人に対し債務を負担する(代償金、その他の財産を支払う)遺産の分割方法です。現物の分割が困難な場合に利用されます。。

例えば、遺産が4,000万円の自宅と1,000万円の現金であり、相続人が配偶者と長男、長女の3人であったとしましょう。

配偶者が4,000万円の自宅を相続すると、長男と長女はそれぞれ500万円ずつの現金しか相続できなくなってしまいます。

そこで配偶者が自宅を相続する代わりに、長男と長女に対して一定額の代償金を支払って精算するのが代償分割です。

代償分割をするためには、不動産や車などの現物を相続する人が代償金を支払うための資産を持っていなければなりませんが、代償金を支払う可能性がある相続人を受取人にして生命保険に加入することで、死亡保険金を代償金の支払いに充てられます。

特定の相続人に財産を遺す

亡くなった人が残した財産は、遺言がない場合は、相続人同士で遺産分割協議をして引き継ぎ方を決めるため、亡くなった人の意思に沿って財産が相続されるとは限りません。

遺言を書き、財産を渡す人を指定する方法もあります。しかし、亡くなった人の配偶者や子どもなどの相続人には、法律上で最低保障されている「遺留分」を請求できる権利があるため、遺言書を書いても安心できません。

そこで生命保険に加入して、特定の相続人に財産を渡す方法があります。生命保険の保険金は、受取人固有の財産であり、遺産分割協議の対象にならないためです。

例えば、献身的に介護をしてくれた長女に1,500万円の現金を遺すとしましょう。その場合、以下のような契約内容の一時払い終身保険への加入が有効です。

終身保険とは、途中で解約をしない限り、死亡または高度障害の保障が一生涯にわたって続く生命保険です。

  • 契約者かつ被保険者:自分自身
  • 保険金の受取人:長女
  • 加入時に支払う保険料:1,500万円
  • 死亡保険金:1,500万円

上記のような契約内容の一時払い終身保険に加入すると、自分自身が亡くなったとき受取人である長女に1,500万円の現金を渡すことができます。

生命保険を相続対策に活用するメリット

生命保険を相続対策に活用するメリット

生命保険を相続対策として活用するメリットは、主に以下の3点であると考えられます。

  • すぐに保険金を受け取れる
  • 相続放棄をしても受け取れる
  • 遺留分対策にもなる

すぐに保険金を受け取れる

通常の相続財産は、遺言がない場合、相続人同士で遺産分割協議をして分け方を決めなければ取得できません。

特に預貯金のような相続財産は、被相続人が亡くなると凍結されてしまい、遺産分割が終わるまで一定額以上引き出せなくなります。

相続人同士で話がまとまらず遺産分割協議が長引けば、残された家族は経済的に困ってしまうかもしれません。

その点、生命保険であれば、被保険者が亡くなったときに受取人に指定されている人が保険会社に対して保険金の請求手続きができます。

他の相続人の同意を得たり、遺産分割協議の終了を待ったりする必要はありません。

保険金の支払いに要する期間は、保険会社によって異なりますが、早いケースでは請求書類を送付してから数日で保険金を支払ってもらえることもあります。

相続放棄しても受け取れる

被相続人に多額の借金があったり、遺産相続のトラブルを避けたりする場合、相続人が相続放棄をするケースは少なくありません。

相続放棄をした人は、相続財産を一切受け取れなくなりますが、生命保険の保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産としてみなされるため、相続放棄をした場合でも受け取ることが可能です。

ただし相続放棄をすると、生命保険の非課税枠は適用されません。そのため、受け取った保険金のすべてが相続税の課税対象となってしまいます。

遺留分対策にもなる

特定の人に法定相続分よりも多くの財産を遺したい場合、遺言を作成するのが有効な手段となります。ただし、他の相続人の最低限の取り分である遺留分を侵害してしまうと、遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

例えば、相続人が配偶者と子どもの合計2人であるとしましょう。

配偶者と子どもそれぞれの遺留分は、遺産の1/4(法定相続分の半分)です。仮に遺言で遺産のすべてを配偶者が引き継いだとしても、子どもは配偶者に請求することで遺産の1/4を支払ってもらえるのです。

前述したように、生命保険金は原則として、遺留分の算定の基礎には含まれませんし、遺留分侵害額請求の対象とはなりません。

しかし、受取人が相続人で、生命保険金が特別受益に準じて持戻しの対象となるケースでは、遺留分算定の基礎に含まれ、遺留分侵害額請求の対象になる可能性もあるため、詳しくは法律の専門家に相談することをおすすめいたします。

生命保険は相続対策としても有効!

生命保険は相続対策としても有効

いかがでしたでしょうか。

今回は生命保険で受け取った保険金にかかる税金や、生命保険を活用した相続対策について解説しました。

生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産となり遺産分割協議の対象にならないため、特定の人に財産を渡す際に活用できます。

また、相続税や代償分割による代償金の支払いで困らないようにするための資金として、生命保険の保険金を活用するのも良い方法でしょう。

一方で生前からできる相続対策は、生命保険の加入以外にも方法があります。相続対策をより万全なものにしたいのであれば「家族信託」を組成することもおすすめです。

家族信託なら、生前から財産の管理を信頼できる家族に託すことができます。認知症などによる資産凍結に備えられるだけでなく、相続財産の承継先の指定など柔軟に対策することも可能です。

ファミトラでは、家族信託にまつわるご相談を受け付けております。

家族信託に限らず、本記事で解説したような生命保険を活用した相続対策など、お客様のご状況に合わせて最適な方法を幅広くご提案・サポートいたしますので、家族信託に興味がある方は、ファミトラまでぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

小牟田尚子 小牟田尚子 家族信託コーディネーター®

化粧品メーカーにて代理店営業、CS、チーフを担当。
教育福祉系ベンチャーにて社長室広報、マネージャーとして障害者就労移行支援事業、発達障がい児の学習塾の開発、教育福祉の関係機関連携に従事。
その後、独立し、5年間美容サロン経営に従事、埼玉県にて3店舗を展開。
7年間母親と二人で重度認知症の祖母を自宅介護した経験と、障害者福祉、発達障がい児の教育事業の経験から、 様々な制度の比較をお手伝いし、ご家族の安心な老後を支える家族信託コーディネーターとして邁進。

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